お問い合わせ

ホーム > 記事・論文 > 21世紀も,COBOLだね > 10.おわりに

21世紀も,COBOLだね
−COBOL生誕40周年トピックス−

「Bit April 2001/Vol.33, No.4」に掲載
今城哲二(日立製作所)
横塚大典(日立製作所)
床分眞一(日立製作所)

10.おわりに

本稿では,COBOL標準化動向と昨年のCOBOLの話題をいくつか紹介した.最後に,21世紀のCOBOLを展望し,課題を述べる.

(1)2002年には,やっと新しいCOBOL規格が制定され,年末ごろから,先行ベンダから新規格に対応したコンパイラの出荷が始まると予想している.そのサポート環境はベンダ間の競合が激しいWindowsやUNIXのオープン環境であり,メインフレームでのサポートはしばらく先になるだろう.

(2)新機能の中で最も注目されているオブジェクト指向機能の普及には時間がかかる.この理由は,オブジェクト指向分析・設計の企業システムでのメリットがまだ実感されていないので,IT部門の標準技法としてすぐには定着しそうもないからである.それよりも,利用者データ型や利用者関数など他の言語で実用性が実証されているもののほうが先に広まると思われる.

(3)COBOL新規格に入っていない機能で重要なのは,Web環境やCORBA,Java,EJB,XMLなどとの連携機能である.これらは,CORBAを除きデファクト標準がないので,各ベンダの仕様は異なる.公式標準の制定には時間がかかるので,どうやって共通仕様を実現していくかベンダ各社が協力して検討する必要がある.当初のCOBOLコンソーシアムのフレームワークにはこの点は入っていないが,いずれ視野にいれていきたいと考えている.

(4)もう1つ期待したいのは,Java VM環境やマイクロソフトのドットネット環境で,COBOLオブジェクトが動作可能になることである.こうなると,今後現れる各種の機器のプログラム言語としてCOBOLが活用できるようになる.技術的にはそう難くないが,開発費はかかる.市場性の見極めがつき次第サポートされていくだろう.


<<前へ 次へ>>