COBOL仕様の総元締めのCODASYLはその後も毎年5〜10回の会合を重ね,時代のニーズに合うようCOBOL言語仕様の保守・改良をダイナミックに継続し,COBOLの発展に尽くした[9].しかし,CODASYLは会合のたびに言語仕様を変更・追加・削除するので,より安定し公的な標準COBOL言語仕様の必要性が高まった.表1に示すように1968年にアメリカ規格(ANSI)COBOLが,1967年1月1日現在のCODASYL COBOLのサブセット仕様として制定された.引き続き,同一内容で国際規格(IS)や日本工業規格(JIS)となり,その後も,規格はたびたび改訂されている[10].
<表1>規格の歴史第1次 | ANSI68,IS72,JIS72 | − |
第2次 | ANSI74,IS78,JIS80 | 大改訂:相対・検索ファイルほか |
第3次 | ANSI85,IS85,JIS88 | 大改訂:構造化プログラミング |
第3次追捕 | ANSI追捕89,IS追捕92,JIS92 | 小改訂:組込関数 |
第4次 | ANSI2002,IS2002,JIS2003見込み | 大改訂:オブジェクト指向、マルチバイト文字ほか |
第4次規格案の作成作業は1992年から始まり,やっと2001年1月に869ページの最終仕様案(FCD)[11]が確定した.現在は世界各国で公式審議中であり,2001年5月下旬締め切りで投票が行われる.そこでの各国コメントに対しFCD作成元が回答を作成し,必要な訂正をほどこす.さらに,もう一度(形式的な)DIS投票が行われ,2002年末までに国際規格になる見込みである.これだけ長くかかった要因は次の2つである.
(1)オブジェクト指向など20世紀のプログラム言語の多くの技術成果を積極的に取り入れ,COBOLを21世紀にも安心して使えるように広範囲に機能拡張を行った.
(2)これらの追加によって既存のCOBOL規格準拠プログラムが動かなくなることがないように,細心の注意を払って上位互換性を保持するように努めた.