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21世紀も,COBOLだね
−COBOL生誕40周年トピックス−

「Bit April 2001/Vol.33, No.4」に掲載
今城哲二(日立製作所)
横塚大典(日立製作所)
床分眞一(日立製作所)

4.COBOLの標準化組織

第4次規格作成にCOBOL標準化の人的資源を集中するため,1992年にCODASYL COBOL委員会はアメリカCOBOL標準化委員会(NCITS/J4)に吸収・合併された.

1992年に,第4次規格の作成がISO/IEC/JTC1/SC22/WG4(COBOL)で始まった.WG4はCOBOL国際規格の内容と日程について国際的な責任を負っており,そのメンバーは日本,アメリカ,イギリス,ドイツ,オランダ,カナダの6カ国で,主査はアン・ベネット(アメリカIBM)である.実際の仕様の開発と文書化はアメリカのNCITS/J4(議長:ドン・シュリッカー(メラント))に委託しており,そこでは10〜15人の委員が活発に活動している.

日本でCOBOL標準化に責任を負っているのは,情報処理学会情報規格調査会(ITSCJ)のSC22/COBOL WG(主査:今城哲二(日立))である.ISOの場で発言・要求するだけでは,漢字仕様やオブジェクト指向など日本が期待する標準化の実現は難しい.すなわち,標準化に影響力を与えるには,実際に仕様を決定する最も重要な組織に参加し,そこで提案・貢献する必要がある.

1988年から日本のCOBOL WGは,COBOL仕様の根幹を決めるCODASYL COBOL委員会およびNCITS/J4の正式メンバーになり,国内各社の委員が協力して出席し貢献してきた.ここ数年は,もっぱら高木渉(日立)が年に6回のNCITS/J4会議に出席し,年1回開催されるISOのWG4には今城,高木と野場和彦(富士通),井上智彦(NEC)の4人が参加している.今城以外の3人は全員30歳代で,今後のCOBOLを支えていくものと期待されている.

JIS COBOL原案作成委員会は,COBOL国際規格が制定されるたびに1〜2年間の期間限定で結成され,ユーザ・メーカー・中立(学会や政府機関)の三者の協力で作業してきた.委員長は,第1次が水野幸男(NEC),第2次が藤中恵(日立),第3次が西村恕彦(東京農工大),第3次追捕と第4次が今城である.

第1次委員会は20歳代後半から30代前半の委員を中心とした22人で構成され,多いときは週に2〜3回も集まり,1年間でJIS COBOLを完成させた.そのころ社会人となった筆者(今城)は松本恵一主任のCOBOL係に配属となった.配属日には主任は出張不在で,その後も週の半分以上はJIS 作業のために出張していた.いったい何をしているのだろうと不思議に思ったのが,上長と規格の最初の記憶である.標準化作業はなかなか理解してもらえない宿命にあるようだ.


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