福島 秀明(富士通株式会社 アプリケーションマネジメント・ミドルウェア事業部)
COBOLが企業の事務処理システムに利用されるようになってから、約50年が経ちました。当初は業務を一括して処理するバッチシステムでの利用が主流でしたが、しだいに個々の要求を対話的に処理するオンラインシステムでも利用されるようになりました。これら2つの処理形態は、現在でもCOBOLシステムの中心を成します。
COBOLシステムのプラットフォームは、比較的近年までホストコンピュータが主流でした。一方で、オープンシステムやWebといった新しい製品/技術が急速に進歩し、これらの製品/技術を組み合わせて業務システムが構築されるようになってきました。昨今では、システム構築/保有のためのコスト低減が強く求められてきたため、ホストコンピュータ上のCOBOLシステムをオープンシステム環境で再構築するケースが増えてきました。
このような動きから、「COBOLシステム=ホストコンピュータ」という"常識"が崩れてきました。そして、COBOLシステムは、機能や信頼性などの要件に応じて、柔軟にその構成を選択できるようになってきました。以下では、旧来のホストコンピュータ上からCOBOLシステムがどう発展してきたのか、そのバリエーションを整理します。なお、システム構成はオンライン処理に着目しました。
オンラインシステムに必要な構成要素は、以下の3つが挙げられます。
一方、オンラインシステムの処理内容に着目すると、システムは論理的に以下の3つの層に分けられます。
システムの構成は、クライアント、サーバーの物理的な構成の上に、3層のどの内容処理内容を配置するかで決まってきます。COBOLシステムに当てはめてみた場合、大きく3つのシステム構成に分類できます。
なお、サーバーのプラットフォームは選択肢が豊富です。ホストシステムではホストコンピュータ、C/SシステムやWebシステムではUNIXやWindowsを採用するケースが多いです。また、ホストシステムではメインフレームをハイエンドUNIXサーバーに移行してハードウェア費用の低減を図ったり、ホストコンピュータをDBサーバーに見立ててWebシステムを構築するなど、クライアントを含めてプラットフォームの選択は柔軟になってきています。
ここでは、クライアントおよびサーバーとしてよく使用されるプラットフォームを例に挙げて、COBOLを活用するためのシステム構成を解説していきます。