藤井邦和 (日本IBM ソフトウェア開発研究所)
COBOLは長い間,基幹業務の開発言語として使用されてきた言語である。その理由として,COBOL言語の信頼性,処理記述の容易さ,豊富な機能などがあげられるが,COBOL言語を対象をした開発支援ツールの存在も大きいのではないだろうか。
開発支援ツールは本来はCOBOLのみを対象としているわけではないが,現実的には最も活用されているCOBOL言語に特化したものが少なくない。多種多様なツールが存在しているが,主な開発支援ツールには以下のようなものがある。
このように,COBOLによる業務開発の設計から作成・テスト・保守局面にいたるまで の全てのライフサイクルをサポートし,作業効率を向上させる多数の開発支援ツール が提供されている。
また,COBOL言語が時代と共に新しい機能を持つように拡張されているように,開発支援ツールも新しい開発技法や先進的なテクノロジーを取り入れ,より高機能を持ち,より使いやすく進歩している。さらに,以前は個々の開発局面に特化した機能を提供するような単体ツールが主であったのが,最近ではCOBOLコンパイラを中心にそれらの機能を統合し,複数の稼働環境やライフサイクル全体をサポートするよう統合開発環境(IDE)に発展してきている。
今後,e-businessに対応したアプリケーションを短期間で効率良く開発する必要性 が強まることを考えると,既存資源であるCOBOLアプリケーションをいかにe-businessに対応させていくかが重要な課題になる。そのためには,既存のCOBOLアプリケーションの持つ確立されたビジネス・ロジックとJavaなどで作成されるユーザ・インターフェースを結びつけるコネクター・ツールが重要となってくる。また,貴重な資産である既存アプリケーションをe-businessに適するようにコンポーネント化し再構築するためには,膨大な資源を棚卸しそれらの依存関係を関連付ける棚卸ツールやビジネス・ロジックを抽出するような影響分析ツールも必要になるであろう。
先進的な基幹業務アプリケーションを開発するための言語としてCOBOLを選択する時には,COBOL言語のもつ特徴や長年培われた人的資源・既存アプリケーションの有効活用,といった面だけでなく,実績のあるツールや先進的なツールを利用できることによる生産性向上という面にも注目してほしい。そして,COBOLを対象とした開発支援ツールも含めた,総合的な開発環境をぜひ利用してほしい。
(「日経ソフトウエアメールマガジン4月7日号」に掲載)